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※
……抑えていた気持ちが、突然膨れ上がって。
動けない。
ぬるぬるしたものに濡れた涼真の指が、後ろを慣らし始める。
痛くない。気持ちいい。
それ位――――二人は、そういうことをしてたんだ。
「……っ」
気持ち良いほど、なんだか胸の奥が痛い。
涙が、滲んでくる。
「――――入れるぞ?」
涼真の声がして。
脚を上げられて。
「――――あっ……ぅ」
中に入ってすら、痛くない。
ぞくぞくした快感。
男なのに。翼の体、男なのに。
こんなことして、こんな風に気持ちイイしかない、とか。
――――どんだけ……シてんだよ、馬鹿。
「……っぁ……! ぅ、んっ……っふっ……」
「………っ」
慣れてるから、痛くないんだろうけど。
……もう分からない。オレが、中を突かれる感覚は、初めて受けたものなのに。
中を擦られて突かれる度に襲う訳の分からない快感が、全部を支配する。
「りょ、ま……っ……りょう、ま……!」
縋るものが欲しくて、ぎゅ、と抱き付いたら、汗ばんだ涼真の体が、熱くなった気がした。
「――――翔……」
……え?
「……翔」
え。 ちょっと、待って。
――――ばれた? え? 何で?
「りょう、ま……っっんっ……っ」
その瞬間、激しく、唇が塞がれた。
舌が絡めとられて、喘ぎが漏れる。
「ふ……っん、ん……」
初めてなのに、こんなに、気持ちいいのは……涼真と翼が、こういうこと何度もしてて……翼の体が、慣れてるせいで…………。
「翔……」
分かんない。
さっきまで、翼って言ってたのに。
間違えて呼んでる?
……でも、もう長い事、オレの名を呼んでない涼真が、間違えてオレを呼ぶはずが無い。
何で、翔って、言うんだ……?
「……りょうま――――……あ……!」
激しい動きと、溶けそうな熱いキスに翻弄されて、翼の体が、達したのが分かって。
はあ、と息を整えようとしてるのに、再び覆いかぶさられた。
「……ごめん、続ける」
「……っ………あっ……んんっ」
さっきよりも深く、突き上げられる。
激しすぎて。 懸命に耐えるけれど、無理で。噛みしめる唇の間から、声が上がる。
「……翔…………」
囁かれて、キス、される。
「りょうま……ぁ……」
名を呼ぶと。
切なくて、涙が零れる。
激しい、嵐みたいな。
翻弄されまくる時間が――――長く、続いた。
(2024/5/12)
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