第3話「恋の行方は」

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 ――――眩暈がする。オレ達の会話。涼真、聞いてたの……?    オレが硬直してると、翼がオレを見つめて、言った。 「翔が涼真んちから出てきた時、オレが涼真に電話したんだよ。涼真、すぐ出てくれたから説明した。よく分からないけど、オレと翔の中身が入れ替わってる、今抱かれたのは、中身は翔だからって。そしたら、今日は、キスしたんだって、涼真が言うからさ……。それで、黙って聞いててもらうことにした」  ――――もう。何、してくれてんの、翼……。  どうしたらいいのか分からない。  翼の体で、抱かれるとか……。そんなの、普通じゃないのに。 「……あのさ、翔。お前、涼真のことを、好きなんじゃないの? いくらなんだって、黙って最後まで抱かれるとか、普通ないよね」 「――――」 「オレが納得済みだからって散々言ったけどさ。途中で逃げてくるかと思ったけど、最後まで受け入れてさ。いくら慣れてるオレの体だからって、ありえない。だって中身は翔なんだから」 「――――」 「認めろよ。――――涼真、受け入れてやんなよ。あいつ、ほんとにお前が好きだから」 「……でも、涼真は、翼と……」 「あれは、オレの為ってのが一番で――オレが、お前の顔にそっくりだからってのが大きい――――つか、翔だって女とヤったんだろ。涼真のこと好きなくせに」 「……っ……」 「涼真はお前を好きだって気付いて、端から諦めて女にいって……その後、顔が似てるオレと、慰め合っただけ」 「………………っ」  そんな風に言われても、頭の中、ぐちゃぐちゃで。 「オレ、そろそろやめようと思ってたんだ。涼真んとこ行くって言うと、翔の機嫌がすごい悪いし、妬いてんのかなって思い始めて。どうにか二人をくっつかせられねーかなって思ってた」 「――――」 「オレも、涼真とヤっても満たされないって分かったし。けど、絶対、翔は素直にならないだろうし、オレらの事ばらしたら終わりだろうし、どうしたらいいんだろうって考えてたら、今日これでさ。荒療治に出てみた訳」 「――――」 「途中で逃げてくると思ってたら、最後までとかさ……やっぱり翔は、涼真が好きなんだなって確信したんだけど。 違う?」 「…………っ……しらないよ……もう、全部意味わかんない……」  なんかもう、いっぱいいっぱいで。  このまま涼真のとこなんて、行けない。 「ちょっと――――出てくる」  階段を降りようとした所で、翼に、手を取られた。 「待てよ、翔、逃げんなよっ」 「っ嫌、だ!!」 「涼真んとこに」 「行かない!! お前の姿で行ったって混乱す………」  ふら、と階段の一番上で、眩暈がして。 「しょ……」  翼が、咄嗟に、オレの手を掴んで。  それでも引き止める事は不可能で。二人でバランスを崩す。 「つばさっ……!」  お互い相手を、抱き締め合うみたいに、絡んで。  そのまま――――転げ落ちた。  次に目が覚めた時は、白い天井と壁の――病院だった。  隣には、少し早く目が覚めていたらしい、翼が寝ていた。  オレ達は、ちゃんと、元の体に、戻っていた。  あの時、ちょうど帰ってきた母さんが階段の下に落ちてるオレ達を見つけて、すぐに救急車を呼んだらしい。涼真も病院に来てずっと付き添ってくれてたらしい。  オレ達は、一週間、目を覚まさなかったみたいで。  ちょうど同じ日に目が覚めるなんてと、母さんが笑いながら泣いていた。  落ち着いてから、母さんは、父さんや色んな人に連絡してくると、消えた。  そのまま、また眠って、目が覚めたら。  翼の隣には、知らない男が座ってた。  翼の態度からすると。多分、あれが好きな男。かな……。    しばらくして、病院なのに。走ってくる足音が聞こえた。  ドアが開いて、涼真が現れた。オレと翼を見て、ほっとしたように息を付いて。 「――――翔」  オレのベッドの脇の椅子に座って。  涼真が、オレの手を取った。  ああ。……オレ。  ――――やっぱり。涼真が好き、だな……。  その手を、握り返すと。 涼真の涙目と見つめあう。  話したいことが、いっぱいあるけど。  ちゃんと、好きだって。  言おう。  ずっと、好きだった、って。  あとの、めんどくさい話は。  ……その後でいいや。 - Fin - (2024/5/17) 読んでくださってありがとうございました。 余裕ができたら、翼や涼真視点書きたいなと思ってます(*´艸`*)
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