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「ええーっ!アイラがフェリックス王子の婚約者候補?!」
突然のお話に、わたくし達3人は目を丸くしました
「ああ、アイラの他にも二人候補者がいるんだがな」
お父様は葉巻に火をつけると、ふうっと大きく煙をはきました
「でもお父様、フェリックス王子には恋人が…」
わたくしは慌ててお父様に訊ねました
「恋人?恋人なんておらんよ」
「でも、この間のパーティーで…」
「ああ、アンジェリーナ嬢か?」
アンジェリーナ
『アンジュ』
そう、王子は親しげに呼んでいた
「はい…」
「彼女は王子の従姉妹だよ」
「従姉妹?」
「なんだ従姉妹だったんですね」
わたしくしがホッと胸を撫で下ろすと
「今回の婚約者候補の1人だがな」
「ええええ?!」
ぜんぜん、ホッじゃないし!
「もう一人はブシュラン公国の公女でカトリーヌ嬢だ、そしてアイラ、この3人の中から王子の婚約者が決まる」
お父様がチラリと私に目配せをした
「アイラ、わかっていると思うが…」
え?
「絶体に王子をものにしろ」
「は、はい!お父様!」
こんな、願ったり叶ったりな話はないわ!
「この話を退かしたら当分、縁談はないだろうからなあ」
お父様が眉をひそめて小さく呟いたが、浮かれて上の空のわたくしの耳には、全く届きませんでした
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