ガーデンパーティー

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
「これ、美味しいよ」 大粒の涙をポロポロ流す、わたくしの目の前に綺麗な金色の紙に包まれたチョコレートが差し出されました 差し出された手からお顔に視線を走らせると ルーカスお兄様と同じ位の背の、男の子が微笑んでいました 彼は綺麗なスカイグレーのサラサラの髪を風に揺らし、髪と同じ色の綺麗な瞳でわたくしを見つめて微笑んでおりました 「フェリックス殿下」 お父様があわてて彼に深々と頭を下げました 「アイラ、フェリックス殿下にご挨拶とお礼をしなさい」 お父様の後ろに隠れていたわたくしを殿下の前に押し出しました 「…あ、ありがとう…ございます…あの…は、は、初めまして…ヒィ~ック!」 泣いていたせいで、しゃっくりが止まりませんでした 王子はクスリと笑うとわたしの頭を優しく撫でました 「可愛い」 え? え? ええええええ? わたくしは王子の子供とは思えない言動に思わず赤面し、うつむきました 「フェリックス様~?何処ですか?」 彼は振り返ると 「アンジュ!」 彼はわたくしと同じ位の年の女の子に、微笑み手を振りました 濃い金色のストレートの美しい髪と、王子と似たグレーの瞳の天使の様な女の子が息を切らしながら彼のもとに走りより、わたくしをチラリと見ると、王子の右腕にしがみつきました 「アンジュ?」 驚いて王子が彼女に視線を落としました 「フェリックス様、国王陛下がお呼びでしたわ」 彼女はそう言うと、王子の手を引き去って行きました 『フェリックス…王子様』 私はドキドキしながら彼の背中を見つめていました それはわたくしの初恋でした
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!