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「これ、美味しいよ」
大粒の涙をポロポロ流す、わたくしの目の前に綺麗な金色の紙に包まれたチョコレートが差し出されました
差し出された手からお顔に視線を走らせると
ルーカスお兄様と同じ位の背の、男の子が微笑んでいました
彼は綺麗なスカイグレーのサラサラの髪を風に揺らし、髪と同じ色の綺麗な瞳でわたくしを見つめて微笑んでおりました
「フェリックス殿下」
お父様があわてて彼に深々と頭を下げました
「アイラ、フェリックス殿下にご挨拶とお礼をしなさい」
お父様の後ろに隠れていたわたくしを殿下の前に押し出しました
「…あ、ありがとう…ございます…あの…は、は、初めまして…ヒィ~ック!」
泣いていたせいで、しゃっくりが止まりませんでした
王子はクスリと笑うとわたしの頭を優しく撫でました
「可愛い」
え?
え?
ええええええ?
わたくしは王子の子供とは思えない言動に思わず赤面し、うつむきました
「フェリックス様~?何処ですか?」
彼は振り返ると
「アンジュ!」
彼はわたくしと同じ位の年の女の子に、微笑み手を振りました
濃い金色のストレートの美しい髪と、王子と似たグレーの瞳の天使の様な女の子が息を切らしながら彼のもとに走りより、わたくしをチラリと見ると、王子の右腕にしがみつきました
「アンジュ?」
驚いて王子が彼女に視線を落としました
「フェリックス様、国王陛下がお呼びでしたわ」
彼女はそう言うと、王子の手を引き去って行きました
『フェリックス…王子様』
私はドキドキしながら彼の背中を見つめていました
それはわたくしの初恋でした
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