佐々山電鉄応援団 第1巻

5/18

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
― 佐々山電鉄 ―  榛名山の麓の沼川市と中腹にある渋沢温泉を結ぶ、約十二キロ強の単線電化のローカル私鉄だ。  もとは、大手私鉄が経営していた渋沢軌道と呼ばれる軽便鉄道の小さな路面電車が走る鉄道。当時は前橋駅や高崎駅からも沼川市に向けて路面電車が走っていたが道路整備や自動車主体の社会になると、相次いで廃止。昭和三十一年に渋沢軌道も廃止された。渋沢軌道が佐々山電鉄の前身。  佐々山電鉄は、渋沢温泉関係者や地域の請願で復活して、線路幅の改軌や電圧増強、勾配緩和等でのスイッチバック駅の解消、大手私鉄の中古車譲渡で近代化を図った。  ただ、榛名山の急勾配を渋沢軌道の路面電車は渋沢温泉に向かい登坂する際は、集電ポールを上げてモーターで電車を運転。  沼川駅方面に降坂する際は、ブレーキを緩めるだけで集電ポールを下げモーターを使わずに地球の重力だけで電車を動かし運転士が手でグルグルと手動ブレーキを巻いて電車を停止させるという現代では考えられない原始的な方法で 温泉客を輸送していた。故に事故も多かった。  現在の佐々山電鉄では、西武鉄道から譲渡された強出力のモーターと、抑速ブレーキ装置を搭載した車両を使っている。  支線の小湯線は、渋沢町から佐々山町を結ぶ単線電化で五キロしかない短い路線。  ご多分に漏れず、佐々山電鉄は赤字ローカル線で経営が逼迫している。  特に、支線の小湯線は鉄道路線として存続が危ぶまれている。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加