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10 令和七年 六月三十日
長崎県の高台にある古い洋館の窓から港を眺めていた老人が、安楽椅子に揺られながら目を瞑り、心地よい睡りの世界へと誘われて行った。
これで地球上のすべての人間が睡ってしまった。
奇跡のように生命が誕生したこの星に、さらにそれ以上の奇蹟として人類が誕生した。
火を使い噂を操り、自然界の限界を超えどれだけの数だろうが、巨大な集団をつくれるようにもなった。
ホモサピエンスは文明を持ったのだ。
しかし今、この星にはその頭脳を使い騒がしく動き回る人間は一人もいなくなっていた。
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