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4 17th / Sep / 2015
江本和臣はグアテマラに居た。
三年前に発見した新種の植物に魅入られたかのように、中南米各地を歩き回ったが何一つ収穫はなかった。
このグアテマラのマヤ文明の遺跡周辺で、ほとんどの地域の踏破は終わったことになる。
もう今では学会への発表も、大学への復帰もどうでもよくなっていた。
彼は完全にあの小さな植物の虜になっている。
金のかかる海外での生活費からなにまで、資産家である実家の父親の世話になっていた。
父親は成績優秀な息子を溺愛しており、彼のためであれば金を出し惜しみすることはなかった。
「やはりあそこ以外に棲息の形跡はないようだ、還って腰を落ち着けるとするか」
一週間後、江本和臣の姿はアマゾンの密林の中にあった。
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