10人が本棚に入れています
本棚に追加
「武内さん......まさか、記憶が......?」
紗倉は俺の抱擁を解いて俺の顔を見る。
俺は静かに頷く。
紗倉は一瞬動きを止めて、俺を突き放した。
「武内さんが”そう”なら、むしろ私は逃げるわけにはいきません。私の戦う場所は、ここなんです」
紗倉は巨大なめこに向かって駆け出す。
途中、一度振り返って俺にこう言った。
「絶対、待っていてください!」
(紗倉......)
*
「もう良いですか?」
痺れを切らしていた引っ越し業者の人々に、俺は土下座した。
「キャンセル、お願いします!」
最初のコメントを投稿しよう!