⭐︎⭐︎第三話⭐︎天使降臨⭐︎⭐︎

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⭐︎⭐︎第三話⭐︎天使降臨⭐︎⭐︎

「あの、同じシフトに入っている紗倉(さくら) (ゆい)です! よろしくお願いします!」 (魔法少女じゃん)  6月。俺はアパートの向かいにあるコンビニでバイトを始めた。今はバックヤードでメンバーの紹介をされているところ。  一目見た瞬間にわかった。  髪の長さや目の色は違うけれど、彼女は俺が何度も見た魔法少女だった。きっと変身前のプライベートというやつだろう。  紗倉は長くて綺麗な曲線を描く睫毛、桃色のほっぺ、セミロングの艶やかな黒い髪の毛。しなやかな手足に意志の強そうな瞳をした美少女だ。正直、可愛い。  ちなみに、確信を確かなモノに変えたのは、いつも魔法少女の周りに浮遊しているマスコットーー桜とクマをモチーフにした妖精の存在だった。どうやら俺にしか見えていないらしい。 『げへへ。あの如何にも時間を持て余してそうなフリーターとやらに仕事を押し付けて楽するクマ』 (おい、あの妖精、平時はそんなクソみたいな性格だったのか)  俺は見えていないふりをして何度か妖精を踏んだ。
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