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「あれ? 紗倉ちゃん。来たの?」
街中が白い光に包まれた後、店長は、息を吐きながらやってきた魔法少女に意外そうな顔をした。
「あー、紗倉。俺のシフトかと思って間違えて入ってたみたいだわ。ごめん。代わるな」
「武内さん......!」
俺は魔法少女の分の品出しを大幅に終わらせてから交代した。フライヤーの掃除だって完璧だ。
この方法なら魔法少女の稼ぎは変わらず、店長だって人手があるから困らない。
なんたって”俺が勘違いしている”だけなんだから。
俺? 俺は問題ない。だって俺はアパートから徒歩1分のところに住んでいる。本業はカメラマン(修行中)だから自由も聞くし細々とだけど収入だってある。
魔法少女はすれ違いざまに小さな声でお礼を言ってくれた。
「武内さん、あの。ありがとうございます!」
俺は手のひらをヒラヒラとさせる。
いつも街を守ってくれるヒーローに俺ができることはこのくらいだ。
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