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中学二年生の息子がいるママさんを翌日、家に招き入れてママさんトークを繰り広げていく。
「悠生くんは、まだ優しいほうよ。あたしんちなんてガン無視、うるせぇ、ばばあなんて日常なんだから」
「わたしの家なんて物が飛んできて、毎日が戦いみたいなもんよ」
息子可愛さから母親はなおさら近づこうとする。だけど、彼らにしてみたらウゼェ対象にしか見えていないんだわ。
「家のローンが二十五年残っているのよ。壁に穴が空いたらなんて思ってたけど、私も近いうちに家に被害が出るのね」
「そうよ」
「おさまるのを待つしかないの」
二人のママさんたちの声を聞いた私は大人しくできなかった。
「悠生が壁ドンでリズムを打ってくれるなら、私はラップで答えようと思うのよ」
ド、ド、ドン!!
あのリズミカルな音を聞いていたらこのまま大人しくしているなんて私には無理な話で。
「翔子さん、今度こそ言われるわようるせぇ、ばばあって。いいの?」
十四歳の悠生と私の思い出がこわいものなんて嫌だわ。
「そうしたらね。言い返すの。悠生あなたもうるせぇ、じじいなんて言われる日が来るって」
決意が揺るがない私の考えに二人のママさんは応援することにしたよう。だけどね・・・・
「韻ってどうやるの?」
普通の歌ならアカペラでも歌える。けど、リズムに合わせて韻を踏むラップは初めてで、それを聞いたママさんたちに爆笑された。
「翔子さん、大胆だと思ったら」
「ラップわからないのに、今日から韻を踏もうとしたの?」
悠生のためなのと真面目な口調で言うと、タブレットを真ん中にラップ動画で勉強を開始したのだった。
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