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おかんがノってきた
中学生活に不満はないと言えば嘘になる。身長伸びているクラスメートが羨ましい。カッコいい低音ボイスになれたと声変わりを誇らしげに語るクラスメートはちょっと憎い。
「悠生はだんまり系?」
絶賛思春期中の僕らの話題は、どうやって思春期をむかえているか。その話題ばかり。
「わざとドアを乱暴に開け閉めしたり、拳を壁に叩いてみたり」
ド、ドンドンと机を叩いてみる。衝撃が握る拳に伝わって痛いだけ。
「まだ初々しいね。おれなんて」
いきなり襟首を引っ張られた。そして蔑んだ視線を見せて。
「消えろって言うよ」
チクリと痛む。本気で言っているわけじゃないけれど、言われた側に立ってみろよと言いたくなるのを堪える。
(本当にいなくなったらどうするんだよ)
正論は彼らにとってからかいの一つに過ぎない。親に反抗できないひよってるやつ認定されるから。
「カッコいいな」
思ってもいないことを口にして、思い浮かんだのは昨日、家の廊下で見たおかんの顔だった。
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