よんろくソング

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「い……って」 体育で右肘の近くを擦りむいた。我ながら鈍臭いコケっぷりだった。保健室に行く程大袈裟なものでもないだろうからと、昇降口から入ってすぐの手洗い場で俺はその傷を洗っていた。 さっさと砂を落として着替えもしないといけないのに血がなかなか止まらない。 「あーあ。絆創膏なんて持ってないし…やっぱ保健室行くかな」 水道を止めて(かが)めていた身体を起こした瞬間、突然肘にタオルが押し当てられた。 「…んぇ、ちょ」 ビビって思わず間抜けな声が出た。 「うわー…痛そう」 「誰?てかタオル…」 名前も知らない君が名前も知らない俺にハイドロパッドを貼ってくれた。
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