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語る気はないと、その笑顔から伝わってきた。ティナはおとなしくカップを持っている。
彼の言葉が、そのまま彼女のものらしい。
「まぁ、お茶を楽しんでください。このパイなんか、意外と絶品ですから」
大きくうなずいてサーバーを握りしめ、ティナが高価そうな皿を取り上げる。
そして、少しすねたように。
「意外とって? エリクのお菓子はいっつも絶品でしょ?」
「……あんたが焼いてるのか……」
「ティナも手伝ってくれているよ」
「粉をふるったり程度だろう」
「あたり。良くわかったね」
「そういう子を知ってるんだ」
パイ生地は難しいんだよ。私の手にはとーてもとても。もっと大人になったらねー。
ばかだな。いくら大きくなったって、練習もしないでできるようになるもんか。
……「良く、知ってる」
そんな会話を、何度も、ぼくたちはーー
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