1 変わらぬ日常

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1 変わらぬ日常

 珠姫(たまき)は服のままベッドに寝かされ、触れるようなキスをされるたびに、口からは甘い吐息が漏れ続けていた。  これはただの香水じゃない。一体どんな成分が入ったらこんなに……欲情しちゃうわけ……⁈  足をギュッと閉じようにも体に力が入らず、彼の指はいとも簡単に珠姫のショーツの中へ滑り込む。その瞬間、体がビクンッと震えた。 「珠姫は本当に初めて? ほら、もうこんなに濡れちゃってるよ。嫌い嫌いって言ってるけど、本当は俺のことが大好きなんでしょ?」  否定しようにも、珠姫の中を刺激する彼の指の動きがあまりにも気持ち良くて、快楽の波に飲まれて何も考えられなくなる。  他の人が同じ香水をつけていても、少しドキッとする程度だった。なのにどうして彼にだけこんなに反応しちゃうのよ……大嫌いなはずのに、彼の匂いを嗅ぐと体は心とは真逆の反応を示していた。  彼は嬉しそうに微笑むと、珠姫の首筋に舌を這わせていく。 「珠姫から俺を求めたんだよ。ほら、気持ちいいって言ってごらん。そうしたらもっと良くしてあげるから」  右手は珠姫の中を激しく突き、左手は敏感な部分を優しく指で撫でて行く。唇をキュッとむすんでからプイッと顔を背けたが、どうやらそれが彼を刺激してしまったようで、突然指を抜かれてしまった。  体が解放されたはずなのに、体に残る喪失感と物足りなさを感じてしまいのは何故だろう。 「なんで……」 「あれ? 嫌なのに、やっぱりして欲しかった?」 「ち、違うっ……あんっ!」  彼は珠姫の足を開き、ニヤリと笑って舌舐めずりをすると、足の間に顔を埋めた。指とは違う滑らかな感触に、珠姫の体は一瞬で弓形に反り返り、大きく震えた。 「もうイッたの? 本当に感じやすくて、刺激に敏感なんだね。可愛い」  そう言って不敵な笑顔を浮かべると、再び舌を使って珠姫を絶頂へと導いて行く。 「そんなに何度も……! もうダメッ……あんっ!」  頭の中はもう何も考えられないくらい空っぽだった。 「あぁ、珠姫のそういう表情、ゾクゾクする」 「……睨みつけてるんだけど」 「そうだよ、クールな顔からの睨み、それからとろけるような甘い表情ーー珠姫のポーカーフェイスを崩すのが俺の至福の時間だって、知ってた?」 「……悪趣味」 「だって可愛いんだもん、仕方ないじゃないか」  小刻みに震える珠姫の体を抱きしめた聡は、貪るようなキスをする。ついさっきファーストキスを奪われたばかりなのにーー彼の舌がゆっくりと珠姫の砦を分けいると、ねっとりと舌を絡ませた。
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