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「梨乃さんだけには告白しちゃいますけど、実は彼氏、同じ会社の人なんです」
「えっ、同じ会社って……。かっ、彼氏って社内の人なの?」
思ってもみなかった告白に、私は再び大きな声を上げてしまった。川嶋さんも社内恋愛をしていたという事実に、思わず目を瞠ってしまう。
「そうなんです。今まで黙っていてすみません」
「ううん。いくら社内恋愛が禁止じゃないって言っても、彼氏が社内の人だとなかなか言いづらいよね。相手のこともあるし」
私と哲也さんも周りから余計な気を遣われないよう、二人で話し合ったうえで秘密にしているのだ。今まで川嶋さんが隠していた心情はとても理解できる。
「ほんとにおめでとう! なんだか自分のことみたいに嬉しくなっちゃう。彼氏も社内の人だったら共通の話題も多いし、川嶋さんの仕事内容もよくわかってるからいいよね! 共感や理解もしてくれるし!」
「ほんとそうなんです! 社内恋愛だとお互いの仕事がわかっていることもあって、彼氏とは話も合うし、相談しても的確なアドバイスをしてくれるし、それに私のことをすごく気遣ってくれるんです。もしかして梨乃さんも社内恋愛をされてたことがあるんですか?」
つい哲也さんを思い浮かべながら自分と重ね合わせて発言してしまったことで、思わぬ問い返しを受けてしまった。
「とっ、友達がそんな話をしていたことがあって……」
「そうだったんですね。てっきり梨乃さんも社内恋愛の経験があるのかと……」
頷くことも否定することもできず、曖昧な笑顔を浮かべることしかできない。
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