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ランチを終えて自分の席に戻ってきて、そのまま休憩も取らずにパソコンに向かって業務をしていると、画面にスケジュールのアラームがピコンと表示された。
えっ、もう15時半?
そろそろ社長に外出することをお伝えしておかないと……。
今日はプレジールホテルが無事に一周年を迎えたことで、夕方から社内の役職者を集めて新年会を兼ねたパーティーが開催されるのだ。役職者のみの参加ということで、私たち秘書室の人間は強制参加となっている。私は社長や他の秘書よりも先にプレジールホテルへ行って、パーティーの進行に関する最終の打ち合わせの予定を組んでいた。
素早く出かける準備をして、喬木社長にこれから外出する旨を伝え、先にひとりでプレジールホテルへと向かう。
ホテルに到着してロビーに入ると、たくさんの人で賑わう中、プレジールホテルの象徴とも言える大きな噴水と螺旋状のスロープが目に入ってきた。
うわぁ!
このホテルのロビーっていつ見ても本当に素敵だよね!
広いロビーの中央に丸い大きな噴水があり、その周りを螺旋状のスロープが囲み、2階のフロアまで続いている。
そして吹き抜けの天井はとても開放感に溢れていて、本当に息を呑むほどの幻想的な空間だ。開業当初にこのプレジールホテルに訪れたときは、初めて見るロビーの美しさに感動して言葉が出なかった。
哲也さんと結婚式をするなら、このプレジールホテルがいいな。
今までは憧れのフォルトゥーナホテルで結婚式がしたいと夢見ていたけれど、このプレジールホテルはラグジュアリーの中にもリゾート感を取り入れたホテルなので、高層階にあるチャペルはホテルの中とは思えないほどリゾート感満載で、別世界のように作られているのだ。
彫りが深く整った顔立ちの哲也さんのタキシード姿はきっとかっこいいだろうし、私はどんなウエディングドレスが似合うだろうか。哲也さんに可愛いと思ってもらえるウエディングドレスにしたい。
そんな未来を想像して夢を膨らませていると、私と同じように噴水とスロープを感慨深く見つめているひとりの男性が目に入ってきた。
あの人って確か、沢村課長だよね?
どうしたんだろう?
何か気になることでもあるのかな?
哲也さんの同期で新橋のフォルトゥーナホテルの総務課に勤務する沢村課長が、立ち止まって噴水とスロープをじっと見つめていた。特に感動して見ている感じではなく、何か気になるところでもあるのだろうか。
沢村課長が見ている方へ視線を向けてみたけれど、別段変わった様子もない。私は少し疑問に感じたものの、打ち合わせの時間も迫っていたので、そのまま急いでパーティー会場へと向かった。
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