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彼女は、「良かった! よろしくお願いします」と笑顔で答えた。
僕たちは、花畑へと向かうため電車に乗った。
ガタン、ゴトン。
揺れる車内で僕は、隣に座る女子高生を見つめた。彼女は、見れば見るほど可愛かった。食べてしまいたくなるほどの小動物のような雰囲気を出していた。
彼女は、小さい手でスマホをリュックから取り出した。チャンスだと思い声をかけた。
「LINE交換しませんか」
彼女は、少し考えてから「いいですよ」と答えた。
なんてちょろい女なんだ。
彼女の名前は、めいといった。
彼女は高校2年生で、学校の帰りにネモフィラの花畑を見に行こうと思っていたが、入場料を忘れて困っていたという。
「あなたに会えてよかったです。ネモフィラ畑、今日までだったんです。どうしても見たかったからどうしようかって……」
だからといってナンパ男についていくのは、どうかと思うが、こちらとしてはありがたい。ここまでちょろいと、少し押せば付き合ってくれるような気がする。小柄で、意思も弱そうだし。
そんなことを考えていると、電車のアナウンスが流れる。
目的地だ。
僕は、降りようと立ち上がった。
そして「つきましたね」とつぶやいた彼女のほうを向く。
彼女はさっきより大きく見えた。
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