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祓魔課広報課
定例の、祓魔課広報課の会議が始まった。
ここで一つ問題があって。
祓魔課の最大のスポンサーは、稲荷山グループだった。
根本的に利潤を求める企業体が、警察組織の上にいるのは問題があった。
ただ、今のところは平和だった。何故なら――。
「さて、今日も始めようか。ぷいきゃーは、どうなのかな?」
トキからの至上命令は1つだけ。ぷいきゃーにキャン言わせたら、消す。だった。
なので、官民はそりゃあ命がけでぷいきゃーを製作することになったのだが。
「問題ありません課長。今クールの、ぷいきゃーのマイナーチェンジは順調です」
まあ、ぷいきゃーであっても色々過去にはあった。
ぷいきゃー キャベツで検索すると出てくる悪夢があった。
まあ、真面目な話、トキが激怒するのは当然だった。
あのキャベツはない。
「あの、クティーラちゃん、でしたっけ?もう完全にエボニーですよもう。まあ、大きいお友達が怒らなきゃいい、って、また捩じれが起きてますけど」
業界人にしか見えない、広報担当官の1人が言った。
「まあ、ずっと1人でやってたぷいキャーに、相棒が出来たあの回!まさに神回だとネットじゃ話題に」
「大きいお友達じゃない!小さい友達はどうなんだ?!」
それについても、問題ありません。立ち上がったのは、永遠に出世コースを登ることが決定している女、県聡美だった。
「病院の待合室では、小さい子が群がってぷいきゃーを見ています。今は、本物のヒーローが跳梁跋扈する世界です。ぷいきゃーも、同じ類の存在です。勘解由小路莉里――さまの活躍は、一業界に留まる器ではありません」
確かになあ。全員が思っていた。
父ちゃんに褒めて欲しくて、日本滅ぼそうとした幼児だもんなあ。
「そこで、今回は遂に、祓魔課が総力を挙げ、この幼児2人のアイドルデビューをバックアップしようと思います。作戦名は、パラナウェー作戦です」
そこで、パラナウェーって何?って言うような人間は、広報課には1人もいなかった。
「くしくも昨今、妖魅の間では、カミングアウトの流れもあります。まさに、そういう人物のところには、広報課を通して、既に祓魔官の派遣も済んでいます。お任せください課長。うちの組織の胡散臭さは、当代一ですから。目下最大の敵は、イギリスのアニス・フィッツジェラルドです。恐らく、天王山は、月末の野外フェスではないかと」
確かになあ。胡散臭いもんなあ。祓魔課って。
みんながそう思っていた。
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