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反省会
その日の夜、ホテルの一室で、莉里とクティーラは並んで眠っていた。
ベッドの中央で、丸まって眠っている。
でも、やっぱり凄く可愛いわねえ。県はほうっと息を吐いた。
この2人を、どうやってビッグにすればいいのか。
漁港も事務所も、無茶苦茶な有様になった。
いやまあ、インタビュアースタッフの教育が足りないどころではない。
確かに、この子達はオカルトの体現者だ。
あのくらいの怪奇が起きても、おかしくはなかった。
丸まって寝ていた莉里が、うっすらと目を覚ました。
「うみゅう?川峰さん?」
「ふわあああ。起きておりますよ?莉里様」
「あれ?パパは?」
「猊下は道玄坂のお屋敷におられます。奥方様をお探しで?」
「うん。ううう、抱っこ欲しいのよさ」
ああもう堪らず、県は莉理を抱っこしていた。
「あれ?県?いい匂いするのよさ」
「ああもう、何て可愛いの?莉理ちゃん」
この娘の愛らしさは天性だ。必ずスターダムにのし上げてみせる。
でも、やっぱり常識は覚えさせよう。でないとまた、無邪気に日本を滅ぼそうとするかも知れない。
報告書をざっと読んで、眩暈がしたのを覚えている。
人化オーガを誑かし、地龍の情報を漏らした。
海に行って、海底の国で結界を踏破し、姫を拐ってきた。
姫と今、ぷいきゃーをやっている。
まだ6歳なのに。
権謀術数と弁舌で、テロリストが如き人化オーガを操るような、6歳。
悪夢じみている。
それでも、それでも、性根は多分健全。それが、勘解由小路の教育方針なのか?
1度、両親と話をしてみなければ。
「ねえ、莉里ちゃん、パパは好き?」
「大好きなのよさ。娘として、1人の女として。ママには渡さんのよさ」
まああまり突っ込むのよはよそう。
「でも、ママは好きでしょう?」
「当たり前なのよさ。莉里のママだものさ。イッラアってなるけど、それでも、莉里のママなのよさ」
この愛らしさはどうだ。何故、今のこのやり取りを、録画しなかったのか。
「県、旦那さんのことは、残念なのよさ。まだ莉里は生まれてないことでも、勘解由小路家の娘として、その恩に報いるのみなのよさ」
ゆっくりと、莉里は眠りにつき、県は、その言葉に少し泣いた。
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