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翔太は保育園の花壇の脇でしゃがんでいた。何かを熱心に見ている。
アリを眺めているのだった。
アリが隙間なく綺麗に列を作って花壇を囲うブロックの隅っこを歩いている。花壇の端から端まで移動していた。
「翔ちゃ~ん。お迎えが来たわよ~」
保育士が翔太を呼びに来た。
「翔ちゃん。何見てるのかな?」
翔太は夢中で気が付かない。
「あら、またアリ。翔ちゃんはアリさん大好きね。アリさんもおうち変わるのかな」
翔太はその日がその保育園での最終日であった。
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