じいちゃんのパジャマ事情

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じいちゃんのパジャマ事情

「おぉい、悦子。部屋におるか。」  じいちゃんが、母さんを呼んでいる。 「じいちゃん、どないしたん。母さんならもうすぐパートから帰ってくるけど。」 「おお、浩明。お前、学校はどないした。ずる休みか。」 「そんなことせぇへんよ。さっき帰ってきたところ。今は期末試験中やから、午前中で学校終わりやねん。」 「そうか。ずる休みとちゃうのか。」 「ははっ。じいちゃんは、俺がずる休みする奴やと思うてんのん。せぇへんよ。」 「そうか。浩明は、ずる休みせぇへんのか。」 「じいちゃん、さっきから話進んでへん。母さん呼んでたよな。どないしたん。」 「ああ、せやった、せやった。」  じいちゃんは、ちょいちょい話が逸れる。せやけど俺は、じいちゃんと他愛ない話をするのは好きだ。 「歩いとったらパジャマのズボンが脱げるんや。」  じいちゃんは、ジャージも「パジャマ」と呼ぶ。冬には裏起毛のやつを穿いて寝るからやと思うが、じいちゃんにしたら、寝間着も部屋着も一緒くたなんである。 「あ、じいちゃん。それは多分ゴムが伸びとるよ。」 「そうか。ゴムもうどんみたいに伸びるのか。そうか。」 「うどんかどうか知らんけど。じいちゃん、俺できるで。ゴム替えたろか。」 「浩明、ゴム替えられるのか。」 「できるよ。母さんの裁縫箱に替えがあるんやないかな。ちょっと見てくる。」
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