上京

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今思い返せば、シンタローが就職してから変わってきた事はあった。 キスの回数は次第に減り、抱き方もおざなり気味。 最近では「疲れたから」「明日、早いんだ。ごめん」と、先に寝てしまう日々が続いてた。 就職して1年目は新人として頑張り時だから、そんな言葉を信じてた、そして2年目は、ここで結果を出していかないとダメだから。 漁師と教師しか見て来なかった私には、分からない事だけどシンタローの頑張りを応援していた。 私にはシンタローしかいなかったから。 私の初めては全部がシンタローだった。 カレシもキスも、それ以上も…シンタローが初めてでシンタロー以外は知らない。 上京してからだって2人の将来の為にって、共同で貯金する通帳だって作った。 結婚資金のためって、シンタローが言ったのに……。 それなのに…彼女ができた。ってなに? 「急に言われても、私行くとこないよ」 「5年も東京にいんだぞ、友達くらいいんだろ?」 「でもっ!」 「ここ借りてるの俺だよ?家賃だって俺の父ちゃんの金じゃん」 そんな事を言われたら、返す言葉も無くなっちゃうじゃん。 「ハナさ、やりたい事も無いんだから地元帰れば?ただ毎日バイト行ってさ、ずっとフリーターで生きてくつもり?夢も生きがいにする仕事も無いじゃん、いる意味ある?」
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