家なき子

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これから、どうしよう……。 住む家、無くなっちゃった。 とりあえず……唐揚げ食べよ。 私のバイト先の唐揚げは、冷めても美味しいと評判で、シンタローも毎回喜んで食べていた…。 「唐揚げに罪はない」 涙が出るのは、きっとお腹がすてるせい。 お腹が満たされれば、涙だって、きっと……。 唐揚げを一気に食べたのに、涙は全然止まってくれなくて、空を見上げた。 「星って、あんなだっけ?」 地元で見た星は、もっと輝いててキラキラしてて、手を伸ばせば届きそうだったのに。 ここでは手を伸ばそうって思うほど、星は瞬いていなかった。 好きな人の、お嫁さんになりたいって夢じゃないのかな? 地元のネェちゃん達やニィちゃん達は、みんな早くに結婚してる。 それこそ高校で付き合って、そのまま結婚なんてザラだ。 私のお父ちゃんやお母ちゃんだって、シンタローんちだって、みんなそう。 でも、地元を出た人達は違ったかも…時々帰省してくる人達に、町のみんなは「都会に行くと垢抜けるねぇ」って口を揃えて言ってたっけ。 シンタローは”垢抜けた”んだね。
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