33人が本棚に入れています
本棚に追加
コンビニのシフトを終え「お疲れさまでしたー」とチカラなく出た。
「ねぇ、キミっ。ひま?」
出た先には派手な髪色をして、小顔でチョットお洒落目な服を着た男の人がいて。
誰かに話し掛けている。
「えーっ!待ってよ。キミだよキミっ、コンビニで働いてる子っ」
「…私、ですか?」
「そーそー。俺、よくタバコ買ってんだけど覚えてなーい?」
全く記憶に残っておりませんが…
こんな時、町の人達の言葉が頭に鳴り響く。
『東京ってとこは、見ず知らずの人間と話したりしないから、知らん人が話し掛けてきたら泥棒か勧誘だと思え』
泥棒には見えないから…もう一つの方だ。
「私、そういうの間に合ってますから!」
「へ?何が?」
「だからっ、壺とか水晶玉とかっ、たーっくさん持ってるし、いらないからっ」
「…プッ、そんなに沢山持ってんの?まさか、その中に入ってるとか?」
「え、…」
どうやら間違ったらしい…間違った上に、私は大嘘つきになってしまった。
『嘘だけは言ったらなんね』そう育てられてきた。
じーちゃん、ばーちゃん。お父ちゃん、お母ちゃん。ごめんなさい、ハナは嘘つきになってしまいました。
もう、ばーちゃんと同じ墓には入れない事が確定してしまったよ。
最初のコメントを投稿しよう!