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家のお墓に入れない事を思い、俯いていると。
「俺さ、ちょっと時間空いちゃったんだよね。だからお茶でもしない?」
「は?なんで私?知らない人同士ですよね」
「んー。じゃ友達になろうよっ、キミ可愛いから前から話してみたいなーって思ってたんだよね」
「友達…」
東京に来て初めて、可愛いなんて言われた。
町では言われた事はあった、でもそれは町のみんな家族みたいなもんだから、意味のある言葉では無かった。
だから少しだけ、ほーんの少しだけ嬉しくて顔が綻んでしまう。
「お茶、だけなら」
「マジっ?やった。じゃ行こうかっ」
そう言って、男は私の手を握って歩き出した。
私より大きくて、温かい手。
シンタロー以外の男の人と、こんな風に手を繋いで歩いたのは初めてで、少しだけドキドキする。
彼が連れてきてくれたのは、人が溢れてるお洒落なカフェだった。
若者から大人まで色んな人がいて、そこにいる人達は誰もが店に馴染んでいて、「お待たせ」彼も例外ではなく馴染んでいる。
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