15.鳴り止まない!

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風織は膝の上に両肘を乗せ、顎を乗せた。 「一人で行くコトになって、凄く不安だったんだって。想像出来ないよね、美玲でもそんなコト思うんだって。その時に声を掛けてくれたのが海人みたい」 ──一緒のクラスだったら、よろしくね。 話を聞いて唖然とした。 全然覚えていない。 絶対に、緊張から八方美人モード全開にしてい たに違いない。 ──嫌いなんだよ! 最初から! 今更ながら、あの時言い放った言葉に罪悪感が込み上げてくる。 「あんなコト言うんじゃ無かった」 額に手を当てて、項垂れる。 海人は覚えていなくても、美玲ずっと覚えていたのだ。 そこから風織と仲良くなっていくにつれて、親友に対して嫉妬心が大きなっていったのか。 実は渦中の人物は自分だった。 「なら俺がいないのが一番正解だったのかもね」 「直ぐそうやって悲観する」 風織は頬をぷくっと膨らませると、「エイっ」と肩に小さくパンチをしてきた。 「海人の言葉があったから、実里たちとも元に戻れたんだよ。美玲」 海人に謝罪したように、美玲は実里と鏡花に謝罪をしたらしい。 そして、二人は彼女の謝罪をすんなりと受け入れたという。 「実は殆どよっぴーのお陰なんだよ、俺」 「よっぴーの?」 ここでラジオパーソナリティの名前が出てきて、風織は首をかしげる。 「ラジオに投稿される質問に、よっぴーいつも真剣に答えてくれるからさ。その言葉で何度救われたコトか。あの人のお陰で、城ヶ崎や藤野さんの嫉妬に気付けたし」 手の位置をズラすと、風織の手に当たってしまい、慌てて引っ込めた。 「じゃあ、私の恩人の恩人だ!」 「神様の神様?」 「そのとーり」 天高く指を伸ばした。 「私もよっぴーみたいになろうかなー」 そう言うと風織は、ぴょんと立ち上がった。 「ラジオ? 声優? 風織ならアイドル声優になれそうだね」 直ぐに眉をしかめて、唸った。 「でも嫌だ。めっちゃ嫉妬しそう」 「アハハ、海人の嫉妬は凄く壊そう」 「何でだよ」 風織は靴で地面に転がる石を蹴る。 その姿を眺めていた。 「俺も脚本に挑戦してみようかな」 「演劇部に入るの?」 頷いた。 「折角文系コースに行くし、文芸部で鍛えて貰ったのも活かせるしさ。やれるコトは挑戦してみたい。まだ将来やりたいコトははっきりとしないけど。やらない後悔より、やる後悔じゃない?」 「あっ、今の凄く名言っぽい」
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