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呆れながらも美味しいクリームシチューを食べていた俺はとんでもないことに気がついた。
わんわん書記の顔を見るのを忘れていた。
たったそれだけ?と思うかもしれないが、わんわん書記の顔は完全なる癒やし枠顔だ。そんなわんわん書記が、天ぷら…!って嬉しそうにしていたんだぞ。それが実物を見たらどうなると思う?癒やし枠顔が癒し枠顔から世界平和顔になるんだぞ。そして俺の心も聖女のようになる。なんて素晴らしい世界。見られなかったことが悔やまれる。
せめて…!という思いでわんわん書記を見ると、そこには嬉しそうにえび天を頬張る世界平和顔。
これで俺の未練も晴れた。さらば世界。はじめまして天国。これからよろしく来世。スピード転生始めました。次に行くのは地獄だそうです。
「お、いしい?」
「とても美味しいです。はい、とても」
主に視界が美味しい。可愛い。ほんわりしてる。首こてん、ってした。寿命が延びたどころか、もう死にそう。好き。I・LOVE・YOU!
「ぼくのもおいしいよ」
ぼく。ぼく、ぼく?ぼくなんですか?!?!!!
この学園に馴染む為に読んだ王道学園ものでは、生徒会書記の一人称は『俺』『おれ』『オレ』だった筈だ。この学園、 非王道どころか覇道なんだが。
皆もlet's 対義語!チャレンジ高校1年生、消されないよう頑張ります。続編もお楽しみに!次回は『遂に消された■■■■■高校1年生』無事に消去済み!!
「僕の一口食べます?」
「…。うん、食べる」
おっとぉ?俺の顔が輝いて見える角度にわんわん書記の顔があるぞぉ?そして少しの間!
つまり?素顔を?見 ら れ た ?
いやいや、流石にないわ。
少しモサり気味のウイッグと厚さ約0.5cm眼鏡をつけている限り、俺はちょっぴり可愛い平凡だから。1回、ガチで変装してみたいんだよな〜。
「はい、あーん」
「…む。………おいしい」
俺も美味しいよ、主に視界が。
そうやって、わんわん書記に癒やされていると、漫画のような、ドンガラガッシャーンという音が食堂中に響きわたった。
「「「「「ギャアアアアアァァァァァァァ!?!」」」」」
「待って…、非王道!」
「えっ?!?何があった?!!」
「マジックミラーが!?!!」
「ぺ?パピパポポッパ?(え?何が起こった?)」
「パパンパイ。……あ(わかんない。……あ)」
「はいアウト〜!『イ』はあ行だよ!!!」
「くっそぉ…!」
「会長が……!転校生に……」
「イヤァ!会長が!!!」
「救急車ー!!!!」
「うっっわ!鼻が!?!」
「こっちも血塗れ!!!」
「俺のハンカチ!!!!!」
「いっっっっ!!!」
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