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あの後、平凡同盟三人組はしっかり床に接吻をした。勿論その後、掃除もした。タワー名人は許してくれなかった。しばらくはタワー名人の奴隷と化すだろう。仕事は主にタワーの移動。倒したら倒した瞬間に土下座しないと許してくれなさそう。
そして担任からの、みんなで即帰宅を聞き、みんなで寮に直帰。校則の緩さに感謝しながら、８０１号室の男虎恋太くんの部屋で、１年Ｂ組全員で転校生歓迎会をした。お祝いのケーキがもはやウエディングケーキだった。部屋の飾り付けも、もはや結婚式会場だった。
そして一日がたって、今は黒板とのにらめっこ。突然のことで理解が追いつかないだろう。なぜ黒板とにらめっこしているのかというと…。
「ほら早く。この程度の問題、すぐ解けるよね？」
すこ〜し腹が暗黒で鬼畜な優しい(笑)数学教師に、俺が指名されたからだ。
ちょっと今の言葉聞きまして？あんなのもはや脅しでしてよ。昨日からもはやしか言ってませんわ。語彙力無さすぎ驚きびっくりドン●ホーテでしてよ。まったく…、今日も調子が良くってよ。
脳内の言葉の流れで俺はついウインクしてしまったが、誰にも見られていないだろう。目の前が黒板で助かった。
「先生、解けません。僕のような平凡では解くことができません！」
「やっぱり？君の中学のテストはいつも平均点ぴったりだったから、少し試してみたんだ」
「僕って完璧な平凡なので」
「でも平凡は平均じゃないんだろう？」
かつてどこかで言った言葉を、なぜか言った俺が聞くことになった。
どこで聞いてたんだこの教師。というかなんで中学のテストの点数を、ただの数学教師が知ってるんだ。俺の情報は不自然にならない程度に隠されている筈なのに。転校する前に前の学校のテストを普通、見るだろうか。…何か怪しい。けど、怪しいとしても俺に害があるとは限らないかもしれないしー…。
俺はすっきりしないまま考えるのをやめ、数学教師である仲林冬貴のそばを通って席に戻った。
俺がこのとき、考えるのをやめなければ、後悔することも、思い出すこともなかったのだろう。
ー・ー・・ ・・ー・ー ・ーーー
ーー・ーー ・ー ーーー・ー
時間の流れに流されて、流れ着いたのは放課後。自称帰宅部副部長の俺は、理事長室の前に立っていた。
自称帰宅部副部長の情報いらなかったか。
「失礼いたしていまーす。理事長室に理事長さんはいらっしゃって〜？」
「理事長室に理事長いらしてるよ〜！どうしたの紘斗くん。正満さんと自分、どっちを僕くれるか決まったの〜？」
理事長に突然突撃おねだりする為に、金のかかった扉を開けると、視界に入ったのは俺と父さんのポスター。
そして耳に入った、読者nゴッホンゴッホン。えー、耳に入った悪役のような言葉。これだけでは答えを出すことはできないだろう。話をするから聞いておけ。ちなみにさっきの正満は俺の父さん、天見正満だ。名前は聞くまでもなかっただろう。
「ホントに父さん好きですね〜」
「違うよ〜、好きじゃなくて愛してる！だってランキングで正満さんが、一票差で負けてた僕に『票を入れるのを忘れてた』とか言って僕に票を入れてくれたんだよ。その後、僕に『これで一緒だ』って言って笑ってくれたし。そのおかげで、正満さんと同じ１位になれたし、僕に失望していた家の人も見返せたし、あの人が僕の願いを全て叶えてくれたんだ。だからお礼に、僕が正満さんに色々なことをしてあげるつもりだったんだけど、正満さんがランキング１位として、いろんな人と関わっていくたびに、正満さんに色々なものが増えていって、だんだん羨ましくなっていって、それがだんだん欲しくなっちゃったんだ…。僕はお礼することを忘れて、それに似たものをどんどん集めていったんだ。でも、邪魔で、目障りで、それが嫌になって全て捨てたら、なんだか視界がはっきりしていって、正満さんに謝りたくなって、正満さんに謝ったの。そしたら『どうしたんだ急に』って笑ったの、最初みたいに。そしたら正満さんが欲しいなって思ったの。正満さんに僕だけを見て欲しくなったの。正満さんが安心できて、安全に過ごせて、笑顔でいられて、僕だけを見ていてくれる。そんな場所で、正満さんと一緒に住みたい。正満さんと一緒に死にたい。これって、『好き』じゃなくて『愛してる』でしょ」
凄いノンブレス。聞きやすいように句読点入れてくれてるけど、ノンブレス。いつから呼吸しなくても生きていけるようになったの？新人類って呼ぼうか？
というか、重い。話も重いし、愛も重い。全体的にボリューミーが過ぎる。今まで途中までしか聞いたことなかったが、ここまで重いのは予想外。父さんこんなやべぇのと、何十年も親友やってきたの？俺、初耳だよ？
それに、愛してるって言ってるけど、それ十周回った結果が愛してるだからな？一に戻れば愛じゃなくて、信仰と憎しみと依存だぞ？
これ、俺の分も聞くの？今、頭痛が胃痛で痛いだよ。
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