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「紘斗くんはね〜!」
「ごめん理事長、高カロリーだからお腹空いたときに聞くよ!」
話し始めようとしていた理事長の声を遮って、断りの言葉を入れた俺は、理事長の残念そうな声を耳に入れた。
「そういえば、なんでここに来たの?」
「あ、ちょっとお願いしたいことがあって♡」
「なになに〜?紘斗くんのお願いなんて珍しいから、なんでも聞いちゃうよ〜!」
お願いしないのは見返りが怖いから。それ以外に理由は無い。シンプルな信頼と信用の問題。
ちなみに俺のお願いというのは、食堂にドリンクバーをつけてほしい、というもの。俺が卒業する前にはつけてほしい。
「ドリンクバーか!確かに、あんなにファミレスっぽいのにドリンクバーが無いのはねぇ〜」
「できれば今年中につけてほしいんだけど」
「わかった。夏休みの間につけておくから、楽しみにしてて!」
やったね。今年の夏休みは学園内で過ごそう。しばらくドリンクバーを独り占めできる〜!
「ありがと!楽しみに待ってる!」
「ふふふ、頑張るね〜!ところで紘斗くん、お願いってそれだけでいいの?」
「もう1個いっちゃう?」
「いっちゃおいっちゃお!」
ということで、会議の結果、お願いをもう1個考えることになりました。
えー?何にしよう。うーん…、あ。
「カードキーの色変えてくんない?」
「?…ああ、目立つもんね」
カードキーの色は、一般生徒が青色、委員会に入ってる人が黄色、風紀が緑色で、生徒会が黒色。
そして俺のカードキーは、そのどれにも属さない白色なのだ。白色のカードキーは普通、存在することはない。だが、例外というものがある。それが俺、顔面ランキング1位である。
まず古野学園というのは、ランキング上位者が安全に過ごす為に作られた、言わば花園。
害虫や雑草が美しい花に触れないように、管理人に守られ、訪れた人間に鑑賞される場所。そして毎日のように、良い水だけを与えられ、悪い水は捨てられる。勿論、悪い水を与えようとした管理人も処理される。
だが、美しい花ばかりが集まる花園に、最も美しい花は植えられない。なぜなら、最も美しい花を植えてしまえば、訪れた人間がその花ばかり見てしまうから。その花に魅了された人間が、その花を枯らしてしまうから。
だから、1位がこの学園に入ることは、無いに等しいのだ。そう、無いに等しい。
というのも、古野学園は1位に危険が迫ったときに、1位を守る為の盾となり囮となるのだ。そして、学園で過ごす生徒たちも。
話が長くなってしまったが、例をつかいすぎて何言ってるかわかんなくなったが、要は古野学園は1位の避難場所として使われているということだ。
ここまで話せばわかるだろう。なぜ俺が、中学卒業直前などという変な時期に転校してきたか。それは、俺に危険が迫ってきたからだ。いや、すでに被害は受けているんだが…、まあ細かい話はいつかしよう。
「あっ!ごめん、カバーあげるからそれで!」
「えっ、なんで?」
理事長が何かに気づいたかのような声をあげて、断りの言葉を入れてきた。それに続いて俺も声をあげてしまった。
「ほら、今年で2位が卒業するから、夜会で挨拶するでしょ。その後も1位として参加しなきゃいけないから、1位のカードキーは白って決まってるし…」
「ああ、いろんなところ開けられるもんなあ」
「ごめん!」
理事長の説明で理解した。ランキング総合2位の2人が今年で卒業する。
多分、言ってなかったと思うが、今の2位は二人いる。一人は何様、もう一人は風紀委員長だ。言い忘れちゃってごめんねっ☆てへぺろんぬ☆彡
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