205人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃ、帰るよ。ありがとね、ばいばーい」
「また来てね〜!」
俺は大きな扉を閉めた。バターンという音がした。
今の音めっちゃいい!想像通りのいい音してた!うっわ、テンション爆上がりなんですけど!
感動で、その場から動けずにいた俺は、長い廊下に響く足音に、顔を上げた。
そこに立っていたのは、副会長だった。
「何をしているのですか?」
「少し、話があったんです…」
少し微笑みながら含みのあるような言い方をしてみた。さ〜て、どんな勘違いをしてくれるかな。
…でも、今の俺って平凡だから、そこまで効果ないよな。副会長は食堂で馬鹿みたいなことした仲だし。まずなんで俺、含みのあるような言い方したんだ?というか俺、含みのあるような言い方して、こんなとこに居て、めっちゃ不審者みたい。
…よし、こういうときにはあれだよな。
「逃げるが勝ちぃぃぃぃぃぃ!」
「えっ、あ、ちょっ、待ってください!!!!!」
俺は叫びながら走り出した。副会長も走り出した。
そして俺は副会長に言いたい、なんで????????え?なぜ追ってきた????しかも足速いし。
おいこら、こちとら顔以外は全部平々凡々な平凡なんだよ!少しは手加減してくれよ!!!
俺の心の声は副会長に届いていないようで、どんどん俺と副会長の距離が縮んでいく。マジ怖い。
「なぁんで追ってくるんですかぁー!!!」
「貴方が逃げるからでしょう!!」
うえ~ん、ホラーゲームみたいでやだよぅ。怖いよぉ。うえ~ん…、うん?待てよ、よくよく考えたら、変なことして逃げたほうが不審者じゃね?えっ、どうしよ。一旦、止まったほうがいいかな?副会長も、俺が逃げるから追いかけてるって言ってたし。とまるか。
そして俺は、急ブレーキをかけて、見事、後ろに倒れた。
急ブレーキってやっぱ危ないわ。
「うわっ、いきなり倒れないでください!!貴方を踏むところでしたよ!」
「やめてください。死んでしまいます」
危なかった。急ブレーキも危なかったけど、いきなり止まるのも危ない。次からは緩やかに止まりましょう。ちなみに、俺の後頭部は無事だ。カーペットがふっかふっかしてて良かった。まあ、そのおかげでめっちゃ走りづらかったけど。
「ほら、早く起きてください。生徒会室に行きますよ」
「な、なぜ?」
「貴方に聞きたいことが、た っ た 今 、できたので」
「ワ、ワァ!ナニヲ、キカレルンダローナァ!」
こうして俺は、生徒会室に連行された。
うっうっ、ホラーゲームみたいでやだ…。聞かれるって何聞かれんだろ。たった今って言ってたけど、たった今の心当たりが多すぎてわかんないよぉ…。
最初のコメントを投稿しよう!