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嫌な予感と共に授業を受けていつの間にか昼休み。共に過ごしたおかげで嫌な予感も怖くない。もしかしたらただの寒気かもしれない。それはそれで駄目なやつだ。
「ねえ、宮澤くん。お弁当持ってないよね」
「おう!」
「なら食堂行こっか!」
思った通り、転校生は弁当を持っていなかった。まぁ、持っていても食堂には行くが。
「ここの食堂はとても広いんだよ」
知らぬ間に隣に立っていた爽やかくんも乗り気のようだ。てか本当にいつからいた?
そんなことをなんやらかんやら、どうたらこうたら、たたんたたーんしてたらいつの間にか食堂の前。
「扉デカくないか?」
「こういうものだよ宮澤くん」
「そうそう、こういうもの」
「…、ま、いっか!」
嘘だ。こんな豪華な飾りがついて俺の2倍以上の扉なんて普通じゃない。転校生は気にすることをやめたが、だいたいの外部生はここで最初の昼休みを無駄に過ごす。
「じゃあ、開けるよ」
ミントの妖精爽やかくんが扉に手をかけているのを見て、俺は察した。あっこれ駄目なやつ。
「「「「「「「「「キャアアアアアァァァァァァァ」」」」」」」」」
「まさかイケメンが来るなんて…、もっと叫べばよかった…」
「年下可愛い…」
「マジックミラーなんて非王道そのものなんだが?!」
「あのイケメン誰?!」
「イケメン図鑑に載ってない?!」
「それ去年のだよ!!」
「えっ、まってあれって平凡受け期待の新星天見君じゃん!」
「巻き込まれ平凡受け来た!?」
「まだアンチと決まったわけじゃない。転校生はまだもう1人いるしな」
「結局非王道じゃねえか!」
うるさ、先輩方うるさ!イケメン図鑑ってなんだよ、毎年更新してんのか。イケメン来なくても叫んでんのかよ、毎日来てんのに初めて知ったわ。平凡受け期待の新星は流石にアホ、世界一の美貌に平凡はないだろ。まあ、今は平凡だけど。
てか、転校生もう1人いんのかよ!!
「こ、鼓膜が…」
「…大丈夫?宮澤くん」
「な、なん、とか…」
隣の転校生は死にそうだ。どうする?
→無視する |
助ける | 天見は転校生を無視した!
爽やかくんを見る|
こういうときもあるよね。強く生きろ転校生。
「あ、あそこ空いてるよ」
爽やかくんが指さしたのはど真ん中のテーブル。
いつもなら…、なんだっけ。ブルドッグでもパグでもゴールデンでもなくて…、ポメラニアンも違う。なんだっけ、キャンキャンしてるやつ…、チワワか。チワワもどきが真ん中のテーブルを占領して空手大会をしているという、チワワもどき専用席権空手大会の聖地が空いていることは無いはずなのだ。ま、いいや。
ちなみにこの学園の食堂は、ファミレスのビッグバージョンのようなものだ。カウンターもある。ドリンクバーをつけてほしい、今度頼むか。
「よし、じゃあ座ろうぜ!」
転校生の言葉に隣を見ると転校生はもういない。テーブルを見るともう座っている。カウンターの方を見ろ、めっちゃ空いてるんだぞ。なぜわざわざ目立つところに飛び込むんだよ。
「うわっ!」
「へっ!?」
まあいいかとテーブルに足を向けると、後ろから何かが突進してきた、振り向いたらしりもちついた。床についた尻が痛い。突進された背中も痛い。あと昨日のタンスで足の小指も痛くなった。
「ごっ、ごめんね!」
「う、あ、ありがとう?????」
ぶつかった毬藻ヘアーの後ろから可愛い男の娘が出てきて勢いよく謝ってきた。そして俺は勢いよく吃った。急な可愛い子はびっくりしちゃう。俺の赤面のほうが可愛いけど。
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