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「僕だって、貴方みたいにお気楽に生きたかったです。でも――」
副会長が自分語りを始めたあたりで、俺には3つの選択肢ができた。
一つ目は副会長の話を止める。これは、この後のことを一切考えていないから、一番の悪手と言えるだろう。
二つ目は、そのまま聞いている。正直、副会長の事情も気になるから、これが一番いい気がする。
三つ目は、隣の転校生たちに任せて俺は逃げるというもの。正直、面倒だからこの選択をとりたい。だが、後で辛い目に遭うことはわかりきっている。
どうするべきか。
ここで一つ、思ったことがあった。食堂+昼休み+人いっぱい+人気者+顔がいい+噂の転校生=注目度の鬼。つまり、副会長の話を止めないとやばいのでは。
結局、俺は強制的に一つ目を選ぶしかなくなった。
この後どうしよ。美しさランキングで得た権力使おうかな。ていうか、美しさランキングって結局は顔面の良さだから顔面ランキングでいい気がする。文字数も顔面ランキングのほうが少ないし。
「―――家族の期待に応える為に努力の日々。風紀委員長のような天才でも、会長のような秀才でもない僕が、学園の天才や秀才が集まる生徒会に入るのにどれだけ努力をしたか…、それを貴方は…!」
「じゃあ、副会長より努力した人は?」
最初は普通に止めようとしたが、気になったからやめた。
こいつ普通に生徒会とか言ってるけど、この学園に入るのがどんだけ大変か。俺なんか、顔面ランキングがなければ此処には居なかった。
顔面(男)ランキング5位以内の奴は必ずこの学園に入ることになっている。確か副会長は5位圏外だった筈だ。つまりはこの学園の試験をまともに受けたということだ。めちゃくちゃ頭良いじゃねえか。
「この学園に入るだけでも大変なのに、いきなり生徒会だなんて…、結局は副会長だって天才や秀才の類だったってことですよ」
「あの、僕の頭事情よりも気になるのですが、なんで貴方は僕を副会長と呼ぶんですか?」
「そこなんですか???」
嘘だろ副会長。俺、結構心に残ること言ったと思うんだけど。ていうか俺、副会長って呼んでた?やっべ、お前に様をつける価値も俺に名前を呼んでもらう価値もねえよ、っていう心の声が…。
「だって、自分のことを平凡様なんて言う人が副会長って…、そこは平凡に副会長様じゃないんですか?」
「平凡は平均じゃないんで。というか自分に様付けする人間が他人に様付けすると思います?」
「確かに、しないですね。解決しました、ありがとうございます」
副会長は俺に感謝の言葉を言って、こちらに背を向けた。
お辞儀は7度ぐらい。ラッキーセブンだ。流石副会長、そんなとこまで計算していたとは…。そういやお辞儀ってどこからどこまでがお辞儀なの?誰か教えてくれ、俺は寝る。
「おい、お前が居ねぇとどれが転校生だかわかんねえだろうが」
睡眠薬の入った料理って無いの?寝たいんだが。もしくは寝かせたい。邪魔だから。大丈夫、きっと俺の監視兼護衛兼伝言係兼信者が運んでくれる。俺の願いなら。
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