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エヴァンの作ってくれたご飯を食べているが、全くと言っていいほどご飯の味しない…
「リュカ、もう怒ってないからそんなにビクビクしないで。ごめんね」
エヴァンはため息をついた後、そう言って眉を下げた。
「……、エヴァンは、俺の事嫌いになったりしない?」
俺がフォークをぎゅっと握りしめながらそう聞けば、エヴァンはにこっと笑った。
「ならないよ。絶対にね」
その言葉に俺はじわりと少し涙が溢れた。いつもエヴァンは優しい。1番怖いのはそんな優しい人に嫌われること。母さんがずっと俺の事嫌ってる間、エヴァンが優しくしてくれたから、妙にエヴァンに依存してしまってる。
俺は涙を拭ってご飯を食べ切った。
今日は流石に部屋に戻る気は起きなくてエヴァンの部屋で過ごした。
俺の隣で俺より早く寝てしまった整った顔をしたエヴァンを見つめる。
…なんだか、寂しい気持ちだ。エヴァンはもう怒ってないって言ってたけどひとりぼっちになった気分だ。
俺はもぞもぞとエヴァンの胸に頭を埋めた。
「ぅ……」
きっとこうやってすぐ鬱になるのは寂しくて暗い夜のせいだ。
もう寝よう。エヴァンだって寝てる。
……母さんは、元気にしてるだろうか?
朝、目が覚めるとエヴァンは座ってコーヒーを飲んでいた。
「おはようリュカ。顔洗っておいで」
俺はその言葉に頷いて顔を洗った。
「っ、」
頬の傷が水に痛みを覚えた。これのせいで、エヴァンに嫌われるかもしれない。
……いや、嫌いにならないってエヴァンは言ってたから、大丈夫。大丈夫だ。
俺はエヴァンの前に座って食事に手を出した。
「いただきます」
そう言った俺を見て、エヴァンは少し目を見開いた。
「どうしたの、リュカ。辛い事があった?」
エヴァンは立ち上がって俺を抱きしめた。何があったのか自分じゃわからない。
……視界が歪んでる。涙が出てたのだ。
「こっちおいで。」
ベッドに腰掛けるとエヴァンは俺の手を引いた。俺は暖かい感覚にじわじわ溢れる涙を堪えながら昨日の話をした。
「…ずっとわからなくて、ガロが傷をつける理由も、エヴァンが怒る理由も…、俺は面白くないし、バカだし、魔法も使えないから、好かれる理由なんてなくて、だからいつも怖い。いつかガロもラウルも…え、エヴァンもっ、離れて行くかもしれないって…、思うと…。…ごめんこう言うところが、ダメって…わか、わかってるから…なおす、から…」
そう言った俺の頬をエヴァンは手のひらで包んでおでこを合わせた。
「昔からずっと言ってるでしょ。俺はずぅっとお前を愛してるよ」
「…っ、なんで?」
「理由いる?」
エヴァンは俺の口に甘ったるいキスをした。
…あ、コーヒー味。
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