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「ラウル、これ飲もう。団長がくれた」
「……いいよ、飲もう」
俺が持つ酒を見てラウルは少し目を見開いた後笑って頷いた。
「高いやつ?」
「うん、聞いたら2万だって」
「すご」
俺は蓋を開けてグラスに酒を注いだ。
「すげーいい匂い」
「ん」
口の中に含むと葡萄の芳醇な香りが鼻を掠めた。
「おいしい」
「リュカ飲みすぎちゃ駄目だよ」
「うん、わかってるよ」
ラウルside
って言っても、結局こうなる事は目に見えてた。リュカはぐったりと酒に潰されて寝ている。
「馬鹿だなぁ、本当」
「うぅ……」
俺は酒を飲みながら地べたに尻をつけて斜め上を眺めるリュカを見た。
その姿はまるで子どもみたいで可愛らしい。鼻の先を赤くして熱いのか目が潤んでいる。
「かぁさん…ら」
本当リュカはお母さんが大好きだね。マザコンを越すくらいには。
まあ環境を考えれば大嫌いになってトラウマになるか認められる様になるまで大好きでいるかの2択しかなかったわけだしこうなるのも頷けるけど。
それでもまあ、多少は妬ける。
「………。リュカ〜、お母さんだよ」
俺がそう言って笑って近づけばリュカは俺の方を素早く振り返ってその声に反応した。
にへ、と笑って朧げな足で俺に抱きつく。
「おれだけ…、なんで」
うるうるした目で俺を見つめてリュカは俺の腹に顔を埋めた。
「いい子いい子」
リュカの頭を撫でながら耳元でそう言えばリュカは耳と尻尾をびくりと震わせた。
「ぁ…、」
あーあ、興奮してる。なんで俺には興奮してくれないのにママには興奮するんだろうなぁ。
俺はそんなリュカの頬にキスをして口にキスをした。
「ん”、んむぅ”…」
リュカはあまりキスが好きじゃないみたいだ。嫌がって首を振る。そんな様子はとても可愛らしい。
「……ん、らうる…?」
「…気づいた?大丈夫?」
今までの事はなかった様に俺はリュカを撫でる。
「…トイレ行く…」
アルコールのせいでおしっこがしたいらしい。
「だめだめ、ここにいて?」
俺は立ち上がってふらふらトイレへ向かおうとするリュカのお腹に抱きついて引き寄せた。
「なん、なに…」
リュカは訳が分からなさそうに俺の顔を見る。鍛錬の時は死ぬほど怖い顔してるのに、こうなるとしおらしくなって俺に甘えてくる可愛い俺の神様。
そのふわふわな耳も尻尾も足も腕も頭も内臓も老廃物だって全部全部全部、ちぎって食べちゃいたい。
「ここでしていいよ、リュカ」
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