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俺の名前はリュカ。
魔法のある世界で生きる獣人族。
俺の一家は貴族の端くれで固有数が少ないとされる光魔力が強い家系だ。
だが俺の魔力は宮廷魔道士の魔力を100としたら0.5程度。まだ魔力を持っていたから良い方だ。
おかげさまで家族からは嫌われている。時には暴力も振るわれる始末だ。
だが俺には一つ特殊な事がある。俺は前世の記憶という物を持っている。
魔力がないのはそれのせいなのかもしれないがまあ天は二物を与えないと言うし、仕方がないのかも。
前世の俺はカガクと言うもので魔法と大差のない力を発揮していた。
俺はそれを研究してたカガクシャって奴だった。
鮮明にその時の状況は覚えているが、言わば他人の記憶だ。思い出したからと言って性格が変わるわけでも人格が変わるわけでもない。考え方は少し、変わったかもしれないけど。
前世の記憶が戻った時は何かのストレスで2、3週間体調を崩した。
カガクは難しい。今はすんなり頭の中に解き方も仕組みもあるけど人に教える様に説明するのは俺には難しい。
だが前世の記憶のおかげで勉強に困ることは無くなった。全て簡単に思える。
だが布団の中で本を読んだり、夜中の机のランタンにしか火をつけないで勉強したりするせいで俺の目は悪くなった。
眼鏡をかける様にしている。
「魔力がないのだからこのくらいは当たり前だ」
家庭教師が持って来たテストを完璧に回答しそれを父に見せても返って来た言葉はそれだった。
前世を取り戻す前までは親に気に入られようとかなり必死だった。だって悲しいもん。家族になりいし。
前世を取り戻して見直してもらえると思ったが相手にされなかった。それで本にめり込む様になったのだ。
考え方が変わったって言うのはそれの事だ。
ところで今日は水が出来たかどうか確認しに行く日だ。
昨日は雨だったから庭に穴を掘ってコップ置いてシートを被せておいたんだ。
「ほんとにできてる…!」
俺はそれを喉奥に突っ込んだ。
「うん…異変ないな…」
光魔法を使えるから異変があれば身体が反応するんだ。
最近は子供でもできる実験を前世の記憶を辿ってやっている。
そんな中親父に呼び出しをされた。
「明日王城でパーティーがある。上流貴族と交流しておけ。コネを掴んでおくんだ」
兄弟たちは意気揚々と頷いている。パーティーは前から決まってた事だがそんな事言われてもな、と思う。
自分の子供をそう言う事に使うのってどうなんだろうか…
いやまあそんなものか。子供が結婚して良いところに嫁げば成り上がれるもんな。
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