山の中、木霊する

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 びりびりと頭がしびれるような、突かれるたびに目の前が真っ白になるような快感に喘ぐ。まだ狭かった奥の方も、赫に捏ねられるたびに柔らかく蕩けていくのが分かる。赫によって中から作り変えられてしまうようで、本当の意味で一つになれた気がした。  自分で動く余裕などなく、ただ赫が腰を振る度に声を漏らす。やがて、組木が合わさるような、互いがぴたりとはまり合うような感覚があった。 「う、うあ、あ、あっ……!」  突然全身を貫いた快感に修造は体を震わせ、ついに達した。身体を痙攣させながら、押し出すように射精し、中にある赫を締め付ける。 「修造、それっ、うっ、ぼくもっ、出っ」 「や、今、あ、あっ」  出したばかりで敏感になっている中で容赦なく動かされ、修造は悲鳴に近い声をあげた。 「あ、ああっ、やあっ」 「修造、受け止めてっ……!」  ぐっ、と赫が息を詰めた瞬間、修造の中でひときわ大きく塊が膨らみ――そして、弾けた。どぷりと熱いものがお腹の中に広がる。 「っ、ふ、う……」  修造の中のものを震わせたあと、赫はゆっくりと満足げに息をついた。修造を突き破らんばかりだった存在感が小さくなっていく。話した手で柔らかく抱きしめられ、体を繋げたまま二人は布団の上に横たわった。  しとどにかいた汗が、冷たく乾いていくのが心地いい。体の中に籠った熱気がゆっくりと部屋の中に溶けていくのを感じながら、ただ二人で触れ合う、心地よい安心感の中を漂う。  まだ続いている宴会で誰かが歌う声、庭の生け簀の水が流れる音、そのほとりで鳴く蛙、そして、背中から修造を抱きしめてくる赫の、ほっとする息遣い。 「……ん」  ふと気になった修造は後ろに手を回した。赫の尻だろうと見当をつけたあたりをまさぐり、尻尾の生える根本を探り当てる。 「何だよ修造」 「いや、尻尾増えたかなと思って……」  体を離したくないが、指先の感覚だけで何本もある、しかもにょろにょろと動く尻尾を数えるのは至難の業だ。触れたと思ったら逃げていく尾を引っ張ったり、触り心地のいい尻を撫でたりしていると、一度落ち着いたはずの赫の呼吸が徐々に荒くなってくる。 「ちょ、ちょっと」 「何だよ」 「そういうことされると、また……」  くきゅうと鳴いた赫のものが、修造の中で力を取り戻してくる。 「なんだ、ここがいいのか。あー、確かに猫や犬って尻のあたり撫でられるの好きだよな」  尻尾の付け根あたりを叩くと、「ふうぅん」と赫は太い尾をぱたぱたっと振り回した。 「修造っ、もうっ」  そう言うなり背後の赫は体を起こした。修造を仰向けにし、繋がりが抜けてしまわないようにしながら修造の脚の間に移動する。 「あのね……もっと、したくなっちゃった」  そう恥ずかしそうに告げる赫の瞳は、中でちらちらと炎が燃えているように明るい。 「今度はね、こっちの向きがいい」  修造の上に手を置き、きゅっきゅっと甘えるように泣きながら見下ろしてくる赫に、修造は手を伸ばした。頭の後ろの方に、安心しきった様子でてろりと垂れている耳を引っ張る。 「……オレも、お前の顔が見たい、赫」  その耳に向かって言うと、耳だけでなく赫の顔も蕩けていくのが見えた。
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