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だが、法案は賛成多数で国会を通過した。
私は再び絶望し、離婚した。
それからの日々はどう呼んでいいのか分からない。
絶望しながらも、全ては自分のせいだと自らを傷つけ、けれど同時に鍛えてもいた。
ボクシング、空手、リストカット。ひたすらそれのくり返しの日々。
絶望していたのは間違いない。
でも、そんな自分を騙すように、ある日突然、復讐を思い立った。
犯人に、ではない。
赤ちゃんむにむに師制度を扇動した大金持男に、だ。
私は復讐する。
赤ちゃんに病気を感染させ得る豚どもすべてに。
「ターゲットは、現在C地点に向かって徒歩で移動中」
斥候の一人から連絡が入り、指揮車をすぐに到達予想地点の近くへと移動させた。
ターゲット、即ち大金持男は普段であればボディーガードに囲まれ、近づくことすら容易ではない。
だが、赤ちゃんを物色するときの奴はボディーガードをつれていないことが、一年半に及ぶ調査で分かっている。もちろん、近くにいないだけで、少し離れたところにはうようよといるのだが、それでも襲撃の難易度はずっと下がる。
「デコイワン、デコイツー配置完了」
オペレーターから進捗状況が伝えられた。
今のところ、作戦は順調のようだ。
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