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第三話 赤ちゃんのむにむにを守れ
私は今日も日課の散歩を楽しんでいた。
散歩はいいものだ。
歩いていると思わぬアイディアを閃くこともある。
ずっと忘れていた大切な思い出がよみがえることもある。
何よりも赤ちゃんと出会えるのがいい。
私は散歩が好きだ。
赤ちゃんのむにむにはもっと好きだ。
散歩にはいい事しかない。
唯一、不満な点を挙げるとすれば、我が家の立地の都合上、コースのバリエーションが少ないことくらいだろうか。
だけどそれでもいいのだ。二回、三回とむにむにさせてくれる人たちとも出会えるのだから。
おや、遠くに見える夫婦は新顔さんだ。この辺りでは見たことがない。最近引っ越してきたのかも知れない。
そして女性が押すのは使い込まれたベビーカー。だが、残念なことにここからでは赤ちゃんの顔が見えない。むにむに具合も確認することができない。ご両親に笑顔を向けて敵対心が無いことをアピールしながら、もう少し近づこうではないか。
一歩、二歩とゆっくり確実に足を運ぶ。
ご両親らしき男女と目が合う。笑みは絶やさない。
ベビーカーに視線を映す。赤ちゃんのものらしき膨らみはあるが、やはりよく見えない。
いや、これは――
そのとき、乾いた音が二回、三回と辺りに響いた。
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