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『赤ちゃんむにむに師法が成立しました。この法律は――』
私はそのニュースに小躍りをした。
閃いてから何年経っただろうか。 あっという間過ぎて覚えていない。
ともかくあれからというもの、人脈と有り余る資金を使って、あらゆる政党や省庁のトップに、この通称・むにむに法の素晴らしさを力説したのだ。
もちろん、一人では手が足りない。同志を募り、ときにはロビイストを金で雇って政治家へのアピールを絶やさなかった。
それが、遂に成った。素晴らしいではないか。
簡単に言ってしまえば、この法律は一定の資格を持つ者が、好きな時に好きな赤ちゃんをむにむにできるというものだ。
ただ、大きすぎる力には責任が伴う。
まずは一定の資格、つまり赤ちゃんむにむに師は年に一回の過酷な筆記、口述、実技試験に合格したエリートだけしか名乗れない。その上、受験料は高額だ。一般的な労働者の年収の四分の一ほどはするだろう。
更に、この資格は継続しない。
一年経てば勝手に消える。
だから、赤ちゃんむにむに師を続けたい者は、毎年、心を新たにして試験に挑戦しなければならないのだ。
それではこれからこの資格の使い方を紹介しよう。
まだ法律が成立したばかりじゃないかという疑問を持った君には、人生の先輩として教えてあげよう。
歳をとると、一年、二年なんてあっという間に過ぎるものなのだよ。
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