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そう言って、私はジャケットの内ポケットからスマートフォンを取り出し、赤ちゃんむにむに師制度専用アプリ――通称むにむにアプリを開いては、三次元バーコードがある資格画面を見せつけた。
紳士、いや、父親は訝しげにじろじろと見るが、パリッとしたジャケット、ワイシャツ、スラックスで清潔感のある身なりをしている私に死角はない。
やがて母親が「あ、お願いします」と言って、スマートフォンを見始めた。
実は、この赤ちゃんむにむに師制度には、二つの狙いがある。
一つは赤ちゃんとの出会いが減った高齢者の生活に潤いを与えること。
もう一つは、子育て家庭への金銭的支援だ。それも、非常に高額な受験料を原資としたものと、今、こうして私がしているような直接的な支援の二本立てである。
なに? 意味が分からない?
まあ、落ち着き給えよ、君。すぐに分かることなのだから。
スマートフォンを操作していた母親は、じきに金額が表示された画面を私に見せてこういうのだ。
「あの、これでいかがですか」と。
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