第一話 赤ちゃんむにむに師法成立の巻

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 私はもちろん二つ返事で「はい」と言い、母親のスマートフォンで私のスマートフォンの三次元バーコードを読み取ってもらう。  これが、直接支援だ。  両親が提示した金額を赤ちゃんむにむに師が払うことによって、初めてむにむにすることができるのだ。  とんでもない金額を要求する親もいるだろうし、無料でむにむにさせろと脅すむにむに師もいるかも知れない。だから、両者の合意が必要で、かつ記録が残る方法でしか支援が出来ない仕組みになっている。  この仕組みも、国会の審議の際は随分と揉めたものだ。赤ちゃんのむにむにを金で売らせるのか、売春ならぬ(ばい)むにではないかとか、赤ちゃんのむにむにはお金持ちだけのものじゃないとか、そのような批判が多く集まった。  結局のところ、当事者同士の話し合いで決まることだからと、そして記録を全て残せばいいのだと押し切って、成立したものだった。  さて、話を戻そう。  無事にご両親が提示した、平均的な会社員の月給の半分ほどの金額を、むにむにアプリを通じて決済した私は、その福々しい御尊顔と向き合っている。  涎と鼻水のテカリが見えるが、それも味があって良いものだ。
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