第一話 赤ちゃんむにむに師法成立の巻

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 さあ、むにむにするぞと勇みたいところではあるが、その前に大事なことがある。  まず、手指の確認。爪が伸びていれば、赤ちゃんのお肌を傷付けてしまう。  次に、手の消毒。消毒というよりは、水と石鹸で洗うのだが、これはお付きの者を呼び出し、タライを使って路上で済ませる。  二つとも形式的なものではなく、本質的に大事な儀式だ。  これを疎かにする人間には、赤ちゃんむにむに師になる資格はないと、教本にもしっかりと書いてある。  そもそもいくらお金を貰おうとも、無神経に汚い手で我が子を触られるなど、親にしてみればたまったものではない。  だから私は、ご両親を安心させるためにも、目の前で確認し、洗うのだ。念入りに。  さて、これで準備は整った。  待ってろ、天使の頬っぺちゃん!  むにむに  うっほー!  たまらん!  むにむに  たまらん!
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