第二話 赤ちゃん解放戦線の巻

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 あの汚らわしい老人どもは、いや、中には若いむにむに師もいたか。ともかくあいつらがどんな病気に感染しているのかまでは公表されないし、義務もない。  土埃が舞う倉庫内を歩き、集会所と呼んでいる場所に辿り着くと、二十個の目が私を見た。  いずれもがありふれた服を着ているが、その腰に差しているものはありふれていない自動拳銃である。  武装組織というには少々心許ない武器ではあるが、それでも短期的な目的を達成するためなら充分といえよう。  そう、赤ちゃんむにむに師制度を作り上げ、赤ちゃんを売り物にした大罪人、大金(おおがね)持男(もちお)を殺すためならば。 「諸君、我々は今こそ大罪人を裁き、これを手始めとして赤ちゃん解放のための戦いにその身を燃やす時である。二年前に実施された天下の悪法。あれのせいで多くの赤ちゃんがむにむに師どもに汚され、今なおその被害は広がっている。赤ちゃんのむにむには、特権階級たるむにむに師どものものではなかったはずだ。ゆえに赤ちゃんを汚らわしい者どもの手から解放するため、本日ここに一号作戦の開始を宣言する。赤ちゃんに栄光あれ。我らに勝利あれ。豚どもに神罰あれ――」
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