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その後、指揮車の待機中に、私は息子のことを思い出していた。
すくすくと病気もケガもなく、いつも元気だった息子は、だが、三歳のある日、誘拐された。
身代金の要求がなされるも、私たち夫婦には逆立ちしても払えない金額に、一度目の絶望を味わった。
その後、警察が犯人を逮捕することに成功したのだが、救出された息子はすでに重い感染症の症状が出ていて、医師の懸命な治療にもかかわらず、命を散らしてしまったのだ。
警察から聞いたところによれば、犯人から感染したのだという。
それからだった。
それからずっと私は私を失い、絶望し続けた。
だが、そんな私にも私を取り戻す出来事があった。
それが赤ちゃんむにむに師制度だった。
法案が発表された時点から反対する者が多く、連日テレビを賑わせたそれは、当然、私も知るところとなり、そして当たり前のように反対した。息子と同じような目にあわせてなるものかと。
それからの日々は、廃案にするために一生懸命だった。
反対集会やデモに頻繁に参加し、ときには集会で自分の身の上を話すこともあった。
皮肉なことに、そのときの私は絶望していなかった。絶望など、忘れていた。あのときは懸命に生きていた。
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