小雪の思い込み

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小雪はその様子を見ながら、目を細める。 (とっても優しいお母様。すみれちゃんを大事に育ててらっしゃるのね) すみれに絵本を読み聞かせたり、どんな音がするかしら?と言いながら、音の鳴るおもちゃを手に握らせたり… 愛情たっぷりに接している様子に、小雪も嬉しくなった。 すみれもすっかり安心してこの場所に慣れ、2回目からは、とくにグズることなく瑠璃と離れる事も出来た。 そしてついに瑠璃の時短勤務が始まり、すみれは週に4日、5時間の定期保育と決まった。 それに伴い、家族構成や住所も含めた細かい項目のカウンセリングシートを記入してもらう。 そこで初めて、早乙女は瑠璃の旧姓である事に小雪は気付いた。 (本名は神崎(かんざき) 瑠璃さんだったのね。じゃあすみれちゃんも、神崎 すみれちゃんか…お父様は、神崎 一生さん。ん?なんか聞いた事あるような… ) かんざき、かんざき…と何度か繰り返した後、ようやく小雪は、あっ!と思い出した。 「も、もしや総支配人?!そうよ、確かにそうだわ。ってことは…」 瑠璃は総支配人夫人、そしてすみれは総支配人のお子様。 「ひゃーーー!!」 小雪は、両手を頬に当てたまま仰け反って驚いた。
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