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程なくして、瑠璃がダイニングに戻って来た。
「すみれ、もう寝たの?」
「ええ。小雪先生にたくさん遊んでもらったから、ベッドに入ったとたん、コテンって」
「そっか。良かったな」
一生は使った食器をキッチンに運び、コーヒーと、カフェインレスの紅茶をミルク多めで淹れた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう!」
ソファにいる瑠璃に紅茶を渡すと、一生もコーヒーを持って隣に座る。
「ふう…」
二人同時にひと息洩らし、顔を見合わせて笑った。
「一生さん、今日も一日お疲れ様でした」
「ありがとう!瑠璃もお疲れ様。明後日から京都だけど、体調は大丈夫?」
「ええ、大丈夫。明日は仕事もお休みだし、すみれとのんびりしながら身体を休ませておきます」
「そうだね」
そう言って一生は、瑠璃のお腹に手を当てて呼びかける。
「元気に大きくなるんだぞー。お姉ちゃんも、首を長くして待ってるぞー」
ふふっと瑠璃は目を細めたが、やがて一生が、何かを真剣に考え始めた事に気付く。
少し首をかしげた後、控えめに尋ねる。
「一生さん、お仕事のことで何か?」
「ん?ああ、ごめん」
そう言って笑ってみせたが、思い直したように、ゆっくり瑠璃に切り出した。
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