小雪の思い込み

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小雪の思い込み

午後になると瑠璃は、ホテルのSNSにアップする庭園の写真を撮りに行くことにした。 部屋を出たところで、山下が、 「瑠璃ちゃん、待って。俺も行く」 と追いかけて来た。 二人は連れ立って庭園に行き、美しく咲いているツツジや菖蒲、アマリリスなどを写真に収めていく。 「うわ、めっちゃ綺麗に撮れてるね」 「本当に!素敵ですね」 二人で瑠璃のスマートフォンを覗き込み、たくさんの写真に惚れ惚れとした。 「ここから厳選するのが大変で。いつも全部載せたくなっちゃうんです」 「ははは!そうだね」 明るく笑う山下に、瑠璃はふと改まった口調で頭を下げる。 「山下さん、私の体調を心配して下さってありがとうございます」 「え?なにが?」 「だって、山下さんは別に庭園に用事はないですよね?今も、私に付き添う為に来て下さったのでしょう?」 すると、山下は半分照れたように苦笑いする。 「そんな大した事じゃないよ。会議まで時間があって、俺も気分転換したくなっただけだし」 ポリポリと頬を掻く山下に、瑠璃はもう一度お礼を言った。
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