ナーサリー

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ナーサリー

「えーっと、今日のご予約は…」 保育士の高岡(たかおか)小雪(こゆき)は、予約表を見ながら今日預かるお子様の名前を確認する。 「10時から15時までが、すみれちゃん。17時から19時までが新規スポットで、えっと、優也(ゆうや)くんね」 ここは、都会の1等地にある高級ホテル フォルトゥーナ東京のナーサリー。 ホテルを利用するお客様のお子様を預かる、託児所である。 ご夫婦でレストランへ、お母様が美容室へ、など、お客様がその時間をゆっくり過ごせるよう、ホテル内にある1室で保育士がお子様を預かるのだ。 事前申し込みの完全予約制で、その時間に合わせて、提携しているベビーシッター会社から保育士が派遣される。 その派遣保育士の1人である小雪は、いつの間にかすっかりこのホテルの担当になっていた。 本来なら、毎日違うお子様を短時間お預かりするため、毎回違う保育士であっても構わない。 だがここ1年ほどは、ホテルの社員のお子様を週に4回預かっており、その子が来る日は保育士も固定した方がいいという事で、自然と小雪が担当するようになった。
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