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第一章 月夜の旅立ち
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僕は図書館で働いている。
ある日、上司から図書館にふさわしいキャラクターを考えるように言われた。図書館が発行するチラシやポスターにイラストを載せたいそうだ。僕はイラストを描くのが苦手だし、そもそも好きではない。描けませんと上司に断ったが、どういうわけか頑なに僕に描けと言う。
しぶしぶ僕は主な仕事場である返却カウンターに戻った。腕を組んで目を閉じてしばらく考えたら、意外にもすぐにひらめいた。図書館だから本をモチーフにして、顔を描いて手足をつけよう。ささっと描き上げたイラストを持って再び上司のところへ行くと、それを見た上司は渋い顔をした。描き直すなどということは絶対に避けたかったので、僕は子どもたちにも簡単に描いてもらえますよ、と言って押し通した。するとあっさりと採用された。
僕の描いたイラストは、本の貸出伝票やイベントのチラシ、ポスターなどに印刷されることになった。
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